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2020年NHK大河ドラマ「麒麟がくる」の舞台、瑞穂の国 丹波の歴史と酒

2020年の大河ドラマの舞台が丹波地方に決まりました。そこで、縁のある土地と地酒について簡単にまとめてみました。


【明智光秀による丹波平定】

奈良や京の都を中心とする畿内と、出雲をはじめとするかつての「表日本」や東アジア大陸との間に位置し、古代より人、物、文化が行き交う要衝であり続けた丹波の国。当地には古くより地元の豪族が小さい所領ながら、肥沃な土地が生み出す農産物と大陸からの先進技術を駆使して造られる鋳造品などの交易により得られる富を背景に、権勢を誇っていたため、他の地方と比べると勢力統一が進まず、小規模の武将が数多く割拠する状態が続いていました。

 その丹波を平定し、戦のない地に生まれ変わる契機を作ったのが明智光秀による「丹波攻め」でした。


【光秀の治世】

 仁政を行う王の元に現れるとされる伝説の動物「麒麟」。次の大河ドラマは、その麒麟が何者で、いかにして、いずれの英雄の前に現れるのかを問う物語となるそうです。

 口丹波の亀山(現 京都府亀岡市)を丹波攻めの拠点とした光秀が最後の仕上げの拠点とした福智山(現 京都府福知山市)には、彼の行動に麒麟出現の予感を抱かせる理由が理解できる逸話がたくさん残されていて、地元にある御霊神社には宇賀御霊大神とともに神様として合祀されているほどです。

 光秀は、一部の例外を除き、敗退した武将を配下に置き厚く遇することで緊密な関係を築き、織田信長家臣団のなかで最強の軍勢に成長していきました。

 また、その治世は地元の繁栄・発展を最優先したもので、田畑の整備や治水灌漑工事に注力することにより河川の氾濫や水害の撲滅に成功したり、農民への年貢の減免などにより、民衆からも厚く慕われました。


【京街道で栄えた酒蔵】

 福知山には、古来、数えきれないくらいの歴史上の人物が往来したはずですが、その足跡が今に残り、名前が身近なところで多くの人の目に触れる例として、百人一首に採用されている歌を詠んだふたりの女性がいます。


小野小町(福知山市小野脇)

 花の色は 移りにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに


小式部内侍(福知山市上野(生野の里))

 大江山 いく野の道の 遠ければ まだ文も見ず 天の橋はし立


 その小式部内侍が詠んだこの歌にある「生野」というのは、福知山唯一の蔵元、東和酒造さんのある生野の里(福知山市上野)のことで、かつては旧京街道(山陰道)の宿場街として栄え、ここの地酒は昔から地元の人や旅人から愛されていたそうです。

東和酒造は享保2年(1717)創業の老舗酒蔵。女性杜氏の今川純さん(11代目)がつくる看板商品「福知三萬二千石」は、まろやかな口当たりですいすい飲めるきれいなお酒です。

福知山盆地は、由良川、土師川、牧川などの水流と肥沃な土地に恵まれた良質の米の産地です。また、寒暖差の激しい気候風土は酒造りにも適しており、全盛期には20件近く酒蔵があったそうです。


 日本酒の凋落の波にのまれ1軒、また1軒と姿を消していき、この蔵藏も一時は事実上、休眠に近い状態となり、廃業一歩手前まできていたとのことです。

そんななか、幼い頃から家業を見て育った11代目の今川純さんが一念発起され、杜氏として2011年から酒造りを再開され今に至っています。


 代表銘柄「福知三萬二千石」の地元産祝米(いわいまい)を使用使用した純米吟醸は、とても上品で優しい味ですが、それでいて、どんな料理も引き立ててくれます。

食事と合わせても単独でも、また冷酒から熱燗まで、ぞれぞれの温度帯で良い味わいがあります。(蔵元さんは冷酒か常温を推奨されていますが、日本酒通なら一通り試したいところです)

 また、3種類の花模様のラベルが美しい「六歓」のシリーズ(純米大吟醸、純米吟醸、特別純米)は、それぞれに味と香りのバランスが整った、とてもレベルの高いお酒です。

是非一度お飲みいただければと思います。

東京ではなかなか見る機会のないお酒ですが、今ならば御徒町のふくはら酒店さんに置いていらっしゃると思います。


【恵比寿の「とりなご」】

 恵比寿にある「とりなご」さんは、丹波福知山(京都府北部)の「鳥名子」の支店で、京風の鳥料理の専門店です。他に三軒茶屋にもお店があります。

ここの料理には、福知山に現存する唯一の酒蔵、東和酒造さんのお酒がよく合います。


(文責 桐村康司)

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