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イベント開催報告

 

【2023年3月特別イベント】東海道藤枝の酒蔵を訪ねる旅~初亀醸造&志太泉酒造

日時:2023年3月18日(土)10時~16時30分

3月の特別イベントとして、一般参加者(非団員)を含む計5名で静岡県藤枝市の酒蔵2蔵(初亀醸造、志太泉酒造)を訪問しました。
どちらの蔵元さんでも、創業以来の歴史や酒造りに込める思いを熱く語っていただきました。
以下、そのご報告です。

 

午前中(10時~11時30分)は、初亀醸造さんを訪問しました。

ご対応くださったのは、10年前に創業家に入られた橋本康弘専務です。

 

創業1636年、屋号を「足名屋(あしなや)」とし、初代・橋本九郎右衛門が駿府城から程近い場所で酒造業を開始(静岡蔵)。主要銘柄である「初亀」は「初日のように光り輝き、亀のように末永く栄える」ことを願い命名されたそうです。
現在の蔵は、明治9年(1876年)に藤枝市岡部町の造り酒屋を買収し、静岡蔵の分店として創業。現存する蔵元の中では静岡県内最古、全国では31番目に歴史があります。
生産石高 900~1,000石、輸出は売上の2%程度とのことです。

※藤枝市岡部町とは?
・東海道五十三次・21番目の宿場町
・南アルプスを源流とする清流「朝比奈川」が流れ、斜面には竹林と茶畑が拡がる美しく静かな里山
・高級煎茶・玉露の“日本三大産地”(岡部・宇治・八女)のひとつに数えられる
・日本一の水揚げ額(水揚げ量は、全国3位)を誇る焼津港まで車で15分の距離に位置
・昨今は良質な筍や椎茸の産地として、東京都内の高級料理店でも重宝されている

 

◆吟醸づくりの歴史
・昭和42(1967)年、静岡県・名古屋国税局・全国の新酒鑑評会において、三冠を達成(全て1位)したことを記念して「大吟醸 愛」の市販を開始
・昭和52(1977)年、「秘蔵大吟醸 亀」を発売。日本で初めて1升瓶1万円を超える日本酒として話題となり、首都圏の地酒ファンを中心に徐々に高い評価を受ける。今では初亀を代表する酒まで成長
・亀の市販化に際し「長期氷温熟成酒」を全国の蔵元に先駆けて取り組む。じっくりと氷温で熟成させることで上品な吟醸香はそのままに、液体を構成する多様な成分が見事に調和し、絹のような柔らかな口当たりを実現、日本酒に“時間(とき)”という新たな価値を見出す

 

◆酒質の大きな特徴~軽やか、優しい甘み
・蔵に湧き出る南アルプスの伏流水(適度なミネラルを含む中軟水)を生かした造り
・スペック上は端麗辛口だが、米・米麹から自然で優しい甘みを引き出す
・華美な演出をせず、程良い甘さと心地良い香りを纏う
・高品質、再現性のある日本酒を目指している、ローカル企業として地域に貢献
・早生米を使用しない(米の傾向を修正)
・醪を絞って最低3ヵ月寝かせて出荷

 

※地元との「エンゲージメント」の取り組み
・市内の成人の日、新成人に初亀の日本酒を振舞った(配布した)
・また、コロナ禍で、取引酒販店に無料配布も行った
 →若い世代、日本酒を知らない人々に広く知って貰うため

 


午後(13時~15時30分)は、志太泉酒造さん(生産石高 600~700石)へ。
対応は、創業家・代表取締役社長の望月雄二郎様自らに行って頂きました。
※望月社長は、前職、協和発酵工業(現在の協和キリン)にお勤めされていたそうです。

 

◆歴史
志太泉は、明治15(1882)年初代「望月久作」が、創業しました。
「望月家」は藤枝の地主であった「杉村家」の分家として、余剰米を有効に利用する役割を担っていたようです。
酒の名前は地元の古くからの地名である「志太」にある「泉」のような酒という意味と、「志」し 「太 」く 「泉」のように湧き立つ酒を造りたいという願いを込めて「志太泉」と命名したと伝えられています。

 

戦前は清酒「志太泉」、「三五の月」、「ラヂオ正宗」、「歓喜」を発売するとともに山梨県にワイナリーを所有し「ミクニワイン」という名で発売していました。
しかし第2次世界大戦の戦局悪化に伴い、米不足のため酒造りは一時休業しました。

 

戦後、昭和29年、酒造業を再開しました。はやくから吟醸造りに取り組み、昭和35年4月には、吟醸酒「白鷺」として発売を開始しました。
昭和43年、当時日本酒の世界で最も権威のある「東京農業大学品評会」で金賞を受賞しました。昭和50年代より静岡県の吟醸造りの方法論を模索し、その隆盛とともに、「全国新酒鑑評会」で昭和59年より3回連続の金賞を受賞しました。平成21酒造年度より、能登杜氏「西原光志」のもとで伝統的な酒造りを継承しつつ創意工夫を加えモダンな酒質を追求しています。
「全国新酒鑑評会」においては平成28.29.30酒造年度にて3年連続金賞受賞し合計20回金賞受賞しています。

 

◆現状
現在でも、志太泉は、地元である志太地区の蔵であること、静岡県の蔵であることに強いこだわりをもっています。静岡県内に約70%を出荷しています。
令和2年は、コロナウイルスの影響が大きく、出荷量は約650石(1.8Lで65,000本)まで急減しております。
通年での酒造りではなく、寒造り(冬季での酒造り)にて仕込んでおります。 

 

◆志太泉の酒について
静岡の風土と食に合うように設計しています。具体的には、爽やかな吟醸香と、飲みやすさに中に深い旨みやかすかな苦みや渋味が融合した酒質を志向し、余韻よりもキレを重視しています。
酒造りにおいては、能登杜氏「西原光志」をはじめ、日本酒業界の中では比較的若いスタッフが酒造りに取り組んでいます。
酒の香りと味わいを構成する要素は、極めて多様です。
1.原材料:米(品種、産地、農家、精米歩合、年度)、水、酵母の選択、純米酒かアルコール添加酒か
2.酒造り:杜氏、蔵人、蔵元、蔵の自然環境、蔵の製造設備(酒造り、瓶詰(生、火入)、保存)、瓶の容量、色
3.流通:輸送方法、酒の保存管理(酒販店、飲食店、消費者がどんな温度でどれくらいの時間どんな場所で)
4.お酒が飲まれる瞬間:お酒だけかどんなお料理と、どんな温度、器、一人で誰と飲むか、どんな気分で何のために、体調・・・

まだまだ、これ以外にもたくさんの要素があります。どんなお酒もこの中のどの要素でも語ることは可能です。
その中であえて志太泉の酒の最大の特徴をあげるとすれば、水だと思われます。

志太泉の仕込水を活かしたきれいな香りと味わいがあるのが志太泉の酒です。

 

【ご参考情報】「初亀」関連
       「志太泉」関連

 

初亀醸造・橋本専務、志太泉酒造・望月社長共に、ご丁寧な説明を頂き、蔵の中の各設備を含め見学と詳細説明を頂きました。
また、試飲も代表的なものを2~5種類頂きました。

 

尚、志太泉酒造の望月社長は、「通訳案内士」の資格をコロナ禍で取得されました。(団員のひとりも通訳案内士資格を持っていて意気投合し、今後、インバウンド客等を中心に外国人への日本酒情報発信の連携の可能性を感じました。

 

今後も奇数月を中心に酒蔵見学イベント等、定例会では体験できない見学や企画を計画したいと思います。

 

文責:副理事長 對間勝己

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