イベント開催報告
【2026年3月特別イベント】~「酒蔵ツーリズム」の原点~肥前浜宿と佐賀県中部地域の酒蔵を訪ねる旅
実施日時: 2026年3月28日(土) ~ 3月30日(月)
参加人数: 7名
「酒蔵ツーリズム」の原点ともいうべき「鹿島酒蔵ツーリズム®2026」の開催時期に合わせ、当団体のメンバーを中心としたグループで佐賀県の酒蔵巡りを行いました。
全国各地の酒どころでは、近年、地域おこしを兼ねた日本酒振興イベントが盛んにおこなわれるようになってきましたが、その魁となった「鹿島酒蔵ツーリズム®」は、事情通の注目の的となっていて、当団体でも設立当初から、気になる催事として意識してきました。そして、今年になって、ようやく念願がかない、訪れることができました。
良質の水と米に恵まれたこの地域では、江戸時代より酒造りが盛んで、地元の人たちに飲み継がれてきました。今も残る酒蔵と日本酒を守り、地域全体の町づくりにつなげていきたい、という地元の人たちの強い思いから、この取り組みが始まり、2012年(平成24年)3月に「第1回鹿島酒蔵ツーリズム」が開催されました。それ以降、毎年この時期に「鹿島酒蔵ツーリズム®」(*)が開催され、全国から多くの観光客が訪れています。
イベント終了後に後述の光武博之さんがInstagramに投稿されたコメントによると、「今年の鹿島酒蔵ツーリズムは天気にも恵まれて、凄い人数の方々にご来場頂きました。なんと、人口約2万8千の町に約10万人のご来場。全国から来て頂きありがとうございました。色々な方々とお会いでき、素晴らしい2日間でした。」とのことです!(Instagram @ mitsutake_hiroyuki , 2026.3.31)
(*注)「酒蔵ツーリズム」は、佐賀県鹿島市の登録商標です)
(ご参考) 鹿島酒蔵ツーリズム|KASHIMA SAKAGURA TOURISM https://sakagura-tourism.com/
蔵人応援団の一行はイベント初日の午後に現地入りし、訪問客で賑わうメインエリアの「肥前浜宿酒蔵通り」にある酒蔵の見学や試飲を、また、通りの外れにある茅葺の民家跡の見物などを楽しみました。
二日目は、同じく酒蔵通りのそぞろ歩きのほか、離れたエリアにある酒蔵の訪問や地元の重要観光スポットである祐徳稲荷神社の参拝など、一日かけて密度の濃い時間を過ごしました。
最終日はジャンボタクシーを1台チャーターして移動し、鹿島市から多久市、小城市を経由し福岡に向かう間に3軒の蔵元さんを訪ねたほか、小城の特産品である鯉料理の昼食をとったり、滝行の霊場「清水の滝」を観光したりと、非日常な体験を楽しみました。
(参加者からのコメントの抜粋)
酒蔵ツーリズムのイベントは想像以上の規模でひたすら楽しい2日間でした。片っ端から様々なお酒を試飲し、それぞれ午後の後半は撮った写真の記憶がまだらなくらいでした(汗)
立ち寄った蔵は、現在は酒造を行っていないところも含め、幸姫酒造、飯森酒造、中島酒造所、光武酒造場、呉竹酒造、矢野酒造、富久千代酒造、馬場酒造場の8つ!それぞれ蔵見学までさせてもらったり、蔵の方の話を聞いたり、何より東京ではお目にかからないバリエーション(地元限定流通も含む)の試飲を楽しみました。どれも甲乙つけがたく、気に入った酒を全部購入すると何本になるかわかりません。自宅が酒瓶にあふれてしまい家人に怒られるので購入は1日1本と決めていたのですが、迷いまくりました(結局光武と鍋島を購入、、、)。
イベント翌日は天山酒造、小柳酒造、東鶴酒造とこれまたそれぞれ全く性格が異なる3蔵を訪問、特に天山酒造七田社長のスキのない素晴らしいプレゼンテーションと、東鶴酒造野中社長の爽やかイケメンぶりにひたすら感心しておりました。
なお、今回の宿泊はコンテナホテル、今流行りの形態だそうです。初めての経験でしたが部屋も広く、下手なビジネスホテルよりは全然快適でした。
(以下、割愛)
主な訪問先等について、3日間の行程に沿って、以下、簡単にご報告いたします。
28日(土)
三々五々現地入りした参加メンバーの集合場所と時間を幸姫酒造さんの酒蔵の公開見学開始時間(13時)前に設定し、イベントのキックオフとしました。
・幸姫酒造
佐賀県鹿島市古枝599
地元のボランティアさんが蔵の中を案内してくださいました。
ここの蔵は比較的新しく、昭和9年(1934年)、長崎本線の支線が地元に敷設された年の創業です。「幸姫」の銘柄は、創業者が一人娘の幸せを願う思いを込めて命名されたそうです。
幸姫酒造の酒蔵見学には、国内外から多くの観光客が訪れて来られるとのこと。
見学の後は何種類かを試飲(有料・無料)させていただきました。
・光武酒造場
佐賀県鹿島市浜町乙2421
続いての酒蔵通り散策の前に、まずはご挨拶をと向かったのは、元禄元年(1688年)創業の、佐賀県の中でも長い歴史を誇る光武酒造場さん。
この蔵は、「酒造りは人づくり」をスローガンに、素晴らしい企業理念のもとお酒造りをされています。また、「光武学校」と呼ばれるぐらい、杜氏の輩出が多い蔵だそうです。
14代目蔵元の光武博之さんは、イベント立ち上げ当初より強いリーダーシップを発揮してこられた方です。蔵人応援団の今回の企画に当たっても、貴重なアドバイスをたくさんいただきました。東京から遠路訪ねてきたことを喜んでくださり、日本酒以外で蔵の定番商品にもなった「赤鳥居」ジンをお土産でいただきました。
仕込蔵内部の見学はできないのですが、ワンコイン(500円)でたくさんの種類のお酒をいくらでも試飲させていただける、広い開放スペースで、かなりの時間、楽しませていただきました。
・肥前浜宿酒蔵通りそぞろ歩き(飯森酒造場、峰松酒造場(観光酒蔵 肥前屋)、茅葺きのまちなみ観光ほか)
・18:30~ 結団式(懇親会)@春寿し
https://saga-kashima-kankou.com/gourmet/2430
佐賀県鹿島市中村2007-7
海の幸を中心とした地元食材を使った料理を肴に、地酒を酌み交わし親交を深めました。
29日(日)
・矢野酒造(竹の園、肥前蔵心)
鹿島市大字高津原3903-1
寛政8年(1796年)の創業で、現社長の矢野元英さんは9代目の蔵元杜氏です。年間生産量は約400石とのことです。
ここも仕込蔵は解放していませんが、有料で試飲ができます。地元の軟水で醸したお酒らしい、とても優しい口当たりのお酒です。
・富久千代酒造(鍋島)
佐賀県鹿島市浜町1244−1
大正12年(1923年)創業、生産高は約400石、言わずと知れた「鍋島」の醸造元です。日本酒を知る人なら、必ず耳にされたことのある銘柄ではないでしょうか?
実は、「鍋島 大吟醸」が2011年に世界最大級のワイン品評会「IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)」の日本酒部門で最高賞「チャンピオン・サケ」を受賞したことが、「鹿島酒蔵ツーリズム®」が立ち上がるきっかけとなったというのは、事情通の間ではよく知られたエピソードです。
そんな注目の的となっている蔵元さんの人気ぶりは圧倒的です。蔵の前は、イベント期間中、いつみてもたくさんの訪問客で溢れています。
実は我々のツアー参加者のなかに、とても熱心な人がいて、他のメンバーがまだ夢の続きをみている早朝(既に列ができていたとのこと!)に、時間帯ごとに割り振られた有料試飲会参加用のチケット(こちらも有料)を人数分入手してくださったおかげで、有意義な時間を過ごすことができました。
テーブル席に座り、鍋島の美酒を沢山の種類、楽しめたことに加え、普段、あまりお目にかかる機会のない社長(3代目蔵元)飯盛直喜さんと4代目(次期社長就任予定)のお嬢様、飯盛日奈子さんのご挨拶を聴いたり、「酒蔵ツーリズム」の推進に大きく貢献されてきた平出淑恵さん(日本観光振興協会酒蔵ツーリズム推進協議会運営委員; IWC日本酒部門創設にも参画)に約10年ぶりにばったりお会いするなど、嬉しいハプニングもありました。
そういえば、地元ケーブルテレビ局の美人キャスターに取材されました。オン・エアーされたのかどうかはわかりませんが。
・13:30~ 昼食@峰松うなぎ屋
https://saga-kashima-kankou.com/souvenir/7956
佐賀県鹿島市浜町甲4292
その日に仕入れた鰻を一尾まるごと店頭で炭火焼きしてくれます。甘いたれなどつけずに、ぱりぱりの香ばしいままの状態でいただくのは最高の贅沢です。もちろん、地酒の肴として。
・馬場酒造場(能古見)
https://www.nogomi.co.jp/index.html
佐賀県鹿島市大字三河内乙1365
肥前浜宿を後にして巡回バスで次に向かったのが鹿島市中心部から少し離れた山間にある馬場酒造場さんです。寛政7年(1795年)の創業で、現在は9代目の馬場嵩一朗さんが蔵元杜氏として蔵を牽引されています。
地元愛の強さから、蔵のある地域の名前「能古見(のごみ)」を看板銘柄にされていて、また生産者農家を大切したいとの思いから、原料米も地元産米の使用にこだわっておられます。
農学博士の学位を持つ馬場さんは微生物の研究が専門で、有明海から分離した酵母でオリジナルの清酒酵母「有明酵母」を開発されたとのことです。その酵母で醸したお酒が「NOGOMI ARATA」で、今上天皇皇后両陛下もお召し上がりになり、美味しいとお褒めの言葉を賜ったとのこと。試飲させていただいたと思うのですが、かなりお酒もまわっていたせいか、香味をよく覚えていないのが残念です。
・祐徳稲荷神社
佐賀県鹿島市古枝乙1855
伏見稲荷大社、笠間稲荷神社と並んで日本三大稲荷の一つに数えられるという、祐徳稲荷神社に参拝してきました。商売繁盛、家運繁栄、交通安全、縁結びなどのご利益があるそうです。
ここからの眺めは最高でした!
・18:30~ 夕食@居酒屋 千景
https://saga-kashima-kankou.com/gourmet/2506
佐賀県鹿島市高津原5043-2
昨晩に続き、地元食材による料理と地酒を堪能する宴となりました。圧巻は光武酒造さんのお酒をふんだんに使った「美酒鍋」でした!
30日(月)
午前9時に宿泊先の「HOTEL R9 The Yard 佐賀鹿島」よりリムジンタクシーで出発
・10:00~ 天山酒造(七田)
佐賀県小城市小城町岩蔵1520
6代目蔵元の七田謙介さんに、とても丁寧なご対応をしていただきました。
蔵は文久元年(1861年)の創業で、当初は水車を使った製粉・製麺業を営み、酒米の精米も請け負っていたとのこと。その後、明治8年(1875年)に、廃業する近隣の酒蔵から酒造業を継承して以来、150年を超える歴史を紡いでこられました。
酒造りにおいては、不易流行の精神を重んじ、創業以来大切にしている自然の恵みを活かした品質本位の酒造りに励む一方で、時代の流れにあわせて新しい挑戦を厭わない姿勢を大切にされている由。
天山酒造の「天山」とは、蔵の北側に見える1,000級の山の名前に由来しているそうです。天山は、玄界灘と有明海それぞれに向かう水流の分水嶺をなしており、有明海に向かう伏流水が、この蔵の仕込み水として使われています。その水質は、佐賀県下の他の地域の地下水が軟水であるのに対して、やや硬めの中硬水(灘の宮水に近い硬度)とのこと。天山のお酒に引き締まった口当たりを感じるのも頷けます
洗練された方法で造られた瓶内二次発酵によるAWA酒を含め、技術の粋とも言える何種類かの逸品を試飲させていただきました。
・正午過ぎ~ 昼食@清竜
http://www.kiyomizu-koi.jp/shop/seiryu.html
小城の特産物として有名な鯉料理をいただきました。天山の伏流水で育った鯉の洗いは、とてもあっさりした味で食べやすく、キレの良い「天山」の本醸造と相性が抜群でした。
・13時半頃~ 清水の滝
食後の運動を兼ねて(笑)、滝行の霊場「清水の滝」までの険しい山道を往復しました。
・13:50~ 小柳酒造(高砂)
https://www.ogi-kankou.com/koyanagi-sake-brewery.html
佐賀県小城市小城町903番地
代表銘柄「高砂」などを醸していた老舗蔵、小柳酒造の施設を見学させていただきました。
この蔵は文化年問(1804年-1817年)の創業で、江戸時代の酒蔵の雰囲気を今も残しています。平成14 年(2002年)に母屋をはじめ蔵・麹室・酒母室など13棟が国登録文化財に、平成18年(2006年)には「佐賀県遺産」に指定されました。
現在、日本酒の醸造は外部に委託し、蔵は「小城蒸溜所」(*)としてリノベーションされジンを造っています。表の売店で「高砂」などを販売。
https://ogidistillery.jp/about_distillery
・14:30~ 東鶴酒造
佐賀県多久市東多久町大字別府3625-1
天保元年(1830年)創業の老舗蔵であったにも関わらず、地域経済の衰退や人口減少の影響から平成元年(1989年)より止むなく休業していたところ、平成元20年(2008年)年に野中保斉さんが6代目として蔵に戻られて、自らが杜氏となり20年ぶりに酒造りを再開されました。
家族とパートさんの若干名で、6本のタンクを使い延べ30本を仕込み、年間300石のお酒を造っておられるとのこと。また、毎月季節の商品を出荷している由、まさに少量多品種のお酒を手間暇かけて造られている様子が伝わってきます。
2019年に地域を襲った水害で被災し、大きな被害がでたものの、逆境を乗り越えられて今に至っています。地下水をくみ上げるために大掛かりな井戸(100メートル!)を掘り、安定した水質の維持を図るなど、着実に体制強化を図られています。蔵に眠っていた古い道具を有効活用しつつも、槽に替えヤブタ式搾り機を導入する他、仕込み前後の工程で使う各種機材へも設備投資を行っておられる様子が見て取れます。
また、製法の面でも、黒麹や白麹を使ったタイプや生酛造り、瓶内二次発酵のスパークリングタイプなど、様々なお酒造りに取り組んでおられます。
・15:40~ 福岡空港に向かって移動
・福岡空港で解散(一部有志はターミナル内の居酒屋で「反省会」)
文責: 団長(理事長) 桐村康司、執筆協力: 正会員 西村努















































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