イベント開催報告
【2023年11月特別イベント②】「四季桜」と「澤姫」の醸造元を訪ねる旅
素晴らしい晴天となった11月25日(土)、コロナ禍のため長らく見送りとなってきた宇都宮の酒蔵訪問を実施いたしました。訪ねたのは、宇都宮酒造(四季桜)と井上清吉商店「澤姫」。
JR宇都宮線宇都宮駅東口のライトライン(LRT)に乗車し、7駅先の平石中央小学校前にて下車。そこから徒歩15分程にて、午前中は、宇都宮酒造「四季桜」さんを往訪しました。今夏(2024年8月)に開業した話題のライトラインは、洗練されたデザインで乗り心地も素晴らしかったです。
四季桜(宇都宮酒造)さんは、創業1871年。生産量は約1,000石。
理念(モットー)は「まごころ一献。旨い酒は、蔵人の心意気が造る。」
(以下、宇都宮酒造ホームページより)
「たとえ小さな盃の中の酒でも、造る人の心がこもっているならば味わいは無限です」
【日本酒への思い入れ】
日本酒は、天(天候)と地(米質)の恵みで醸し出され、その味を決定するものは、酒を造るものの旨い酒を醸したい!という心意気。
先人たちが、血と汗でたどりついた日本酒造りの妙を謙虚な気持ちで受け継ぎ、私たちの主食であるコメから醸す日本酒の良さを知って頂くように努力し、
今後日本酒の愛飲者がますます増え、名実ともに国酒といえることを願っています。
見学では、副杜氏の平川泰智さんが酒蔵全体を丁寧にご案内くださり、また試飲にて4種程を頂きました。
・純米生貯蔵酒(特別純米生貯蔵酒)
酒米:栃木県産五百万石等
精米歩合:60%
alc:14%
日本酒度:+4
酸度:1.4
明利小川酵母
・花宝(純米大吟醸酒)限定品
酒米:兵庫県産山田錦
精米歩合:40%
alc:16%
日本酒度:+2
酸度:1.2
栃木県酵母
・純米吟醸 ARUSHOROI(純米吟醸酒)
栃木県大田原市(momofarm)産五百万石
精米歩合:55%
alc:17%
日本酒度:+2.4
酸度:2.3
協会9号酵母
・とちぎの星純米酒(純米酒)
酒米:栃木県産とちぎの星
精米歩合:65%
alc:15%
日本酒度:+2
酸度:1.3
栃木県産酵母TS
日本酒の特徴は、飲み飽きしない食中酒に相応しい酒質設計。
特に新商品「ARUSHIROI」は、女性の酒米生産者、杜氏の今井昌平氏の奥様・今井亜紀氏のコラボにより生まれ、ラベルデザインも女性のデザイナーによる、すべて女性の力で造られた、特筆すべき魅力的な日本酒でした。
ARUSHIROI(アルシロイ)、それは女性が手掛けた女性のための純米吟醸酒です。
お米は栃木県大田原のmomofarm西岡智子が五百万石を栽培し、ラベルデザインは那須のクリエイターRari Yoshioが描き、お酒は宇都宮酒造の管理栄養士今井亜紀が担当。
名前は京都の下鴨神社から使用許可を頂き、女性の優しさと力強さを表現するためアルコール17%の原酒を瓶詰めしました。やや辛口・濃淳でうま味のある程好い酸味が口の中を駆け巡ります。
昼前に宇都宮酒造(四季桜)さんから、宇都宮駅まで戻り、駅前にて宇都宮餃子とビールでサクッと昼食を取り、その後、カフェで休憩した後、バスにて山下清吉商店(澤姫)さんへ移動しました。
山下清吉商店(澤姫)は、創業1868年(明治元年)、生産量は約300~400石(推測)
http://sawahime.co.jp/index.html
現社長の井上裕史氏は、創業5代目。井上社長自らお出迎えくださり、売店内のスペースにて解説頂いた後、酒蔵を丁寧にご案内くださいました。(一部試飲も)
新酒鑑評会での金賞受賞も直近2年連続受賞。その他IWCのSAKE部門での高い評価も得ています。
【IWC2011 (平成22年)】
SAKE部門 吟醸酒・大吟醸酒の部
「澤姫 大吟醸 真・地酒宣言」
ゴールドメダル&トロフィー受賞
その後、アワードにて部門最高賞
『チャンピオン・サケ』に選定されました!!
その後、ゴールドメダル受賞続出。
↓
【IWC2011(平成23年)】
SAKE部門 吟醸酒・大吟醸酒の部
「澤姫 大吟醸 真・地酒宣言」 ゴールドメダル受賞
【【IWC2017(平成29年)】
SAKE部門 純米大吟醸酒の部
「澤姫 下野純米大吟醸」 ゴールドメダル受賞
【【IWC2019(令和元年)】
SAKE部門 純米吟醸酒の部
「澤姫 純米吟醸 真・地酒宣言プレミアム」 ゴールドメダル受賞
【【IWC2020(令和2年)】
SAKE部門 純米大吟醸酒の部
「澤姫 純米大吟醸 真・地酒宣言」 ゴールドメダル受賞
コンセプトは「真・地酒宣言」!!
(以下、山下清吉商店(澤姫)ホームページより)
澤姫は普通酒から大吟醸・鑑評会出品酒まで、全製品の原料米に栃木県産米を100%使用しており、とことんまで地元・栃木県産素材にこだわります!
全国に目を向ければ、兵庫県産「山田錦」や岡山県産「雄町」など、素晴らしい酒造好適米が存在し流通しているのは百も承知ですし、それらの優良品種の育種に関わられた先進県の技師の方々や、その品種を用いた王道的酒造法を編み出した先人たちには畏敬の念を抱いてやみません。
だからこそ、我々は地元産米のみを用い、伝統の技術に革新というスパイスを加えながら、誇りをもって王道に挑み続ける酒蔵でありたいと考えています。
いや、決して反骨精神ではありません。アンチテーゼでもないんです。栃木に生まれ育った酒造家としての必然的な宿命であり、本当にごく自然な挑戦であると感じています。
仮に我々の酒造りがある一定の評価をされたとすれば、当然用いている原料にもスポットが当てられます。
県内外からの酒米の受注が増加することで栃木県産酒造好適米の需要と生産量が伸びれば、地元農業への貢献ができるかもしれません。
我々の蔵の周りの田んぼが酒造好適米になれば、当然我々にもメリットはあります。
酒処のイメージが増し、酒蔵自体が観光資源として地域貢献なんていうのもいつかはできるかもしれません。
何と言いますか…まあ夢を語ればキリがありませんが、地域資源にとことんまでこだわることで、我々の酒造りが名実ともに地元に笑顔を生み出す源になるんじゃないかなってのを、我々は大真面目に考えている次第です。そして、それこそが我々の信じる製造コンセプト「真・地酒宣言」の基本指針であり、我々を様々な挑戦に駆り立てるエネルギーの源なのです。
瓶詰の機械、ラベル張りのエリア(ラベルは全て手張り)→精米・洗米、蒸しエリア→麹室(何と、井上社長自ら「仲仕事」を実演頂き、傍らにて見学)→タンク各種(新酒の仕込中にて、発酵の状況もリアルに拝見出来ました)、上槽スペース(佐瀬式)。
澤姫さんを後にした後、帰路は、酒蔵前のバス停から宇都宮駅西口に移動し、現地解散となりました。
今回の酒蔵見学は、これまで以上に内容の濃い、素晴らしいものになりました。特に新酒の仕込みの真っ最中にも関わらず、見学を受けれて頂いた、宇都宮酒造(四季桜)さん、山下清吉商店(澤姫)さんには、紙面を借りて厚く御礼申し上げます。宇都宮エリアは、東京都心から新幹線で約1時間程度とアクセスも良いこともあり、いずれ他の団員メンバーを誘い再訪したいと思います。
文責 副理事長 對間勝己
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